2021.03.19
三井物産アイ・ファッション「アンノウト」
裁断くずから作るデニム
若手社員発案のブランド
三井物産アイ・ファッションは、デニムの裁断くずを活用した独自ブランド「Annaut(アンノウト)」を立ち上げた。自社EC(電子商取引)サイトを使って消費者に直接販売するD2Cブランドとして展開する。20代後半の若手社員の有志が立案・企画から販促まで手掛ける。無駄の排除を追求したアップサイクルブランドとして打ち出していく。
裁断くずはクラボウ安城工場(愛知県安城市)で回収した後、砕いてわた状に戻し、新しい糸を作るメランジデニムの生地に仕上げる。この糸と落ちわたを混ぜた糸を織り合わせることもできる。
環境に配慮して染色を行わず、織りあがったままの色合いを生かした。洗い加工も、水の使用量を大幅に抑える手法を取り入れた。
第1弾として、2型のセットアップを製作した。ユニセックスで、サイズはS・M・Lの3種類。ゆったりとしたシルエットに加え、生地はストレッチ性を備えているため、ストレスフリーで着こなせる。着脱しやすいドットボタンの採用や、ボトムスの腰回りをゴム仕様にするなど、実用性にこだわった。季節や流行にとらわらず、さまざまな生活シーンに合わせられるデニムとして提案する。
価格は、シャツジャケット1万9800円/ユーティリティーパンツ1万6500円、ジーンジャケット2万4200円/ドレストラウザータイプパンツ1万7600円。
ブランド名のアンノウトは、無価値を表す「ノウト」に打ち消しの「アン」を組み合わせた造語で、「再び価値あるものに」という意味を込めた。考案した若手社員4人のグループは、部署の垣根を越えて集まり、オンライン会議などで協議を重ねて商品企画に取り組み、ブランドの立ち上げにこぎつけた。
同社は、再資源化可能な衣料品を回収し、わた状にしてから紡いで糸にする独自システム「クロスループ」の提案を進めている。アンノウトにも同システムを導入し、「循環型ブランド」としての普及を目指す。
自社4ブランドの店舗
三井物産アイ・ファッションは、東京都千代田区の有楽町マルイ3階で、同社が販売する4ブランドのアイテムをそろえたポップアップストア「ショールーミング・アンド・ストア」を開いている。21日まで。「アンノウト」をはじめ、サステイナブル素材を取り入れた共通点を訴求しながら、各ブランドの特徴に合わせた着こなしを提案する。
同社は、23~25日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「第1回国際サステナブルファッションEXPO春」に出展する。
2021年3月19日(金) 繊維ニュース3面