2018春季総合特集 トップインタビュー
 

三井物産アイ・ファッション

三井物産アイ・ファッションの白崎道雄社長は繊維産業でのデジタル技術活用、広がりが目前まで来ているとの見方を示す。三井物産本体が掲げる「デジタルトランスフォーメーション」の 方針と連動しながら検討を進めている段階。業務の効率化に貢献する手法とともに、デジタル技術を使った新しいビジネスモデルの構築も重視する。

新事業につなぐデジタル活用へ

社長 白崎 道雄 氏

-AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の活用を主題に第4次産業革命が進みつつあるとされますが、実感はありますか。

「いつ、どこで、誰が起こすのか」という段階にまで来ているという印象を持っています。ファッション・衣料の消費はなくなりませんが、その一方で業界では人手不足が進み、競争も激しくなっています。これから業界が継続して成長するための何らかのイノベーションが必ず起きてくるでしょう。

-MlFとして取り組んでいることはありますか。

当社単体でできることは限られているので、三井物産本体が掲げる「デジタルトランスフォーメーション」戦略と連動して、繊維分野で何ができるかを検討しており、案件の形成を進めつつある ところです。

当社が担うのはモノ作り機能です。プロダクト・ライフサイクル・マネジメントに関連する技術の情報を三井物産本体から紹介してもらって選ぶことを考えています。人の手を掛けずにできる分 野をどのように切り替えるかもポイントです。それだけでなく、デジタル技術を活用し新しい事業モデルに変わっていく考え方も重要と思います。

-2017年度を振り返っていかがですか。

製品OEM/ODM事業は上半期が厳しい環境で推移しました。その前の年からの流通在庫が残り、店頭の盛り上がりも欠けたことから注文を得にくい状祝が続きましたね。秋口までこうした環境が続き、防寒衣料が活性化したことで一息ついたという印象です。春夏商品への意欲が出て、足元の18秋冬防寒衣料の商談まで続いています。

製品ビジネスではスポーツウエアが好調でした。世界的に見てもこうした傾向が見られたと思 います。

-輸出事業の方はいかがでしたか。

年間を通じて非常に安定的に推移しました。高機能テキスタイル「パーテックス」が、ブランディングに成功したことで堅調でしたし、差別化原料のトレーディングも世界的な規制強化の流れを追い風にして、販路を広げることができました。輸出がけん引した17年度だったと言って良いでしょう。

-ブランドマネジメントに関する新しい打ち出しも目立ったと思います。

顧客ニーズに応える新しい商材を買い付けてくる機能を専門商社らしく果たすことができたと思います。ロシアのブランドを紹介するなど、他社の拠点がない国・地域で商材を掘り起こし、商社に求められる役割・期待に応えました。高価格で、しかも単品の商材へのニーズが活発になっています。製品ビジネスと併行して力を入れて行きます。

-製品ビジネスでは中国で生産管理する難度が上がっています。

巨大なスペースがある同国で「最後には何とかなる」との感触がここ数年はありましたが、それを超えて状況が変わってきています。環境規制強化による生地生産の長期化、縫製キャパ不足の影 響があり、「注文があれば作れる」という認識が崩れ始めたことを、今年は顕著に感じました。産地の移転が一段事して、今後は精度を高める方向になって行くでしょう。

-18年度方針は。

製品ビジネスの環境を踏まえ、今後に向けた仕込みを17年度に整えました。今年はそれを貫く1年間です。製品軸でくくった事業部を作りました。顧客軸での組織が中心でしたが、これからはモノ軸と顧客軸で攻めて行きます。日本以外の顧客開拓はモノ起点の事業部が担当します。〝全員参加型〟で取り組む1年間にしたいですね。

生地・原料ビジネスについては、パーテックスが40周年を迎えます。3~4年先を見据えて、どんな方向性で伸ばしていくかを前期に話し込んできたので、記念イベントを皮切りに、商品そのものの価値向上とマーケティングの強化をさらに図っていくつもりです。

差別化原料の貿易は市場を広げます。中国、米国市場は継続して掘り下げることに加え、中東、南米の開拓に着手したいと考えています。エネルギー分野に強みを持つ三井物産のネットワークを 通じて現地のニーズ、顧客に接近します。

-海外事業の拡大に向けた方針は。

東京をヘッドクオーターに、海外拠点の情報を集約して欧米、その他の有望市場での展開を強めて行きます。必要に応じて人材も補強します。

私の記念日

記念日や日付に「あまりこだわりがない」そうだが、逆に「これから先、印象深い1日に出会うときが来るのかもしれない」と思い直した。「まだ、道の途中」と続け、未来志向を見せる。「4月1日は毎年、気持ちが新たになる」と言う白崎さん。これも「道の途中」という考えの現れかもしれない。新年度の初日に新入社員を迎えると、会社の責務について改めて考え、身を引き締める機会になっている。そんな自身が仕事を引退する日こそ、心に深く感じる記念日になるのかもしれない。

 

2018年4月23日(月) 繊維ニュース13面

お問い合わせ
お問い合わせは、
各部門の担当者から回答いたします。

お問い合わせフォームはこちら >